Forsterの4.23の部分について
Forster『Lectures on Riemann Surface』のDef.4.23
Prop.
X,Y:Riemann面,f:X→Yをconti., proper, non-const.とする.またAをfの分岐点全体,B=f(A)とする.この時BはYからの相対位相を考えるとdiscreteになる.
proof.
Bが集積点を持たないことを示せればよい.背理法を用いて示す.
Bが集積点を持つと仮定し,を集積点,をyに収束するB\{y}の点列,をとなるようにとる.この時,YはHausdorffで,はその任意の点列に対して,常に収束する部分列を持つことからコンパクトになる.fはproperだから,逆像はコンパクトになる.よって部分列に取り換えることでは最初から収束列であるとしてよい.そこでとおく.
Aはdiscreteだったから,あるが存在して,となる.よってのときとなるが,これはの取り方に反する.よってBは集積点を持たず,discreteな位相がYから誘導される.
(証明終わり)
勉強したことの話
この記事はMathematics Advent Calender の25日目の記事です.
最近勉強したことのまとめ的なものになります.1日目は割と気合いれて書いたのですが,今日の記事は大したことを書けなさそうです,うっひょー.とりあえず以下,最近勉強したことについて書きます.
関数論などを扱ううちに連接層というものが出てきます.次のようなものです.
Def. を環の層とする.-加群の層は以下の性質を満たすとき,連接層という.
また,上の定義の2の「有限個の(切断)」の条件を外した時,準連接層と言います.
局所有限というのは,各点での茎を考えたときに特異なものがない*2,または各点において局所的に一様になっている(?)とイメージすればいいと思います(任意の点に対して,その近傍上の茎が同じ関数の芽で生成されている,と言われれば分かりやすいと思います).例えば局所有限でない層の例として次のようなものがあります.
Ex. は上の正則関数がなす層,でaでの芽を表すとします.,,とおく.この時,開集合上の正則関数fで,が上で正則になるもの全体を考え,それがなす層を考える.この時
となる.これは局所有限でない.
これはにおいて,どんな近傍を取ってもと交わってしまい,そこで茎が他と異なっているため(での茎の関数は上で0を取るものしかない),局所有限にはなりません.
ちなみに連接層の例としては(=上の正則関数がなす層)があります*3.確かに特異点とかなさそうですよね.
…と,いうことで連接層というのはそんな感じのイイ性質を持ったものと扱ってみればいいと思います.関係層の局所有限性は…単なる代数的な制約とみればいいのでしょうか.よく分からないです(テヘッ 連接層の話はここでおしまい.
さて,では関数論でなぜ層が出てくるのか?
例えばCousin I問題*4を考えましょう.これは簡単に言うと局所的に有理型関数を与えたときに,それと同じような性質を持つ,全域で定義された有理型関数を構成できるか?というものです.もう25日が終わってしまうので詳しい説明は省きますが.これは層に対しCechコホモロジーというものを考えると,その1次の部分が消えているか?という問題に置き換えることが出来ます.同様にCousin II問題*5も層のコホモロジーを考えることでいくらか分かります.
やはり局所的な関数と大域的な関数の関係を調べるには層を使うと楽なんですね(飛躍)
めちゃくちゃ適当な説明ですみませんが,私の記事はこれで終わりです.
Advent Calenderに参加してくれた皆さんありがとうございました!メリークリスマス!
Mathematics Advent Calender1日目!
Mathematics Advent Calender 1日目です.(http://www.adventar.org/calendars/170)
明日はぽよ子さん(@tara_nai)です.人が足りないので,今からでも気軽に参加してください~.どんな内容でも構いません.(前提知識を要求するものでもOKです) 最近勉強したことの復習にでも書いてもらえればありがたいです.
さてさて.私の記事は"単体複体のホモロジーを用いた正多面体の分類"です.pdfをこちらに置いておきました,どうぞ.(Google Driveに飛びます)
ご意見等あればコメント,または私のTwitter(@Maleic1618)にリプライをいただければありがたいです.
参考文献[1]に上げた,田村一郎さんの『トポロジー』は前提知識が全くなくても読める面白い本なので是非読んでみて下さい.(今回の内容はこれに書いてあります)
最初はPuppe列を用いてCW複体のホモロジーを求める的なことをしようと思っていたのですが,私がちゃんと求められなかったので結局このテーマになりました.つらい.あとTeX書くのもめっちゃつらかった.つらい.
代数拡大体全体は集合にならない?
「代数拡大体全体を考えてZornの補題を使えば~~~」
ちょっと待ってください
それ本当に 集合になりますか?
_人人人人人人人人人人人_
>(`о´)コラコラコラ~!!!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
https://twitter.com/Maleic1618/status/399466243373027328
ちょっと前,こんなツイートをして何人かと議論になったのですが,ちょうど授業でそこをやったのでメモっておきます.集合論っぽいことはあんまよく分からないので,変なことを書いてたら教えていただけるとありがたいです.
Claim. 体Kの代数拡大体全体は集合にならない.
pf.) L/Kを代数拡大,XをLに含まれない任意の集合とし,Lは真にKを含むものとする.
a∈L-Kとx∈X-Lをとり,L':=(L-{a})∪{x}とするとLとL'の間に全単射が存在するのでL'にKの代数拡大体としての構造が入る.
Kの代数拡大体全体が集合になると仮定すると,が集合になる.
しかしこれは全ての(Lに含まれない)集合の全ての元を含むので集合ではない.よって矛盾.
よって代数拡大体全体は集合にならない.(証明終わり)
だから,代数閉包の存在を証明するときに,代数拡大体全体を取ってきてZornの補題を使って極大元を取る…ということが出来ないんですね~.
ではどうやって代数閉包を構成するのか?
上の証明で代数的な構造が同じでも集合としては違うものは別々に扱っていました.
そうではなく構造が同じものを同一視し代表元を取って議論することで,構造に対してZornの補題を使う…みたいにして構成すればうまくいく,とのことでした.
ちなみに授業での代数閉包の存在証明は,「各多項式に対して最小分解体を固定しておき,そのinductive limitを取る」みたいな形で証明していました.最小分解体を固定することで同一視を入れてるわけですね.(多分)
完全な証明はノートをちゃんと取ってなかったので()あげられませんごめんなさい.なにか適当な体論の本を参照してください….
服部位相幾何§3.4の冒頭部分の説明
先日,位相幾何学(服部)のゼミで小泉ふゅーりーさん(@koizumi_fifty)に説明をしてもらったのでメモしておきます.間違いがあれば,私のミスですので@maleic1618に伝えていただけるとありがたいです.
Claim.
XをCW複体とし,そのn胞体の特性写像をとする.が中への同相写像の時,結合定数は±1か0である.
Proof.
をn胞体,をn-1胞体全てとします.として考えます.
をからへの写像とみると,次の図式が可換になります.
さらに次の図式を考えます.
はをつぶす写像,はをつぶす写像とします.は図式を可換にするようにとります.
ここで,をと分解します.
(1つめはをの上にかぶせる写像,2つめはの下半分をつぶす写像です.)
最初の部分が切除同型,2つ目は可縮な部分をつぶす写像で同型になるので,は同型になります.
また,でつぶれているところがでつぶれているのでは同型になります.
さらにはn-1次元球の境界をまとめてつぶしたものなので,を1点でつなげたもの(以降と書きます.*1 )と同相になります.
さらにの添え字が以外のをつぶす写像をとします.
さて,ここで
を合成した写像をとすると,によって結合係数が決まります.
が全射でないとき*2,をとるとが可縮なので,となります.よっては0射になります.
が全射の時,をとなるように取ると,での中へ同相で写されるようなの近傍が取れます.このときはの中への同相写像になります.
この時,次の可換図式を考えます.
1行目から2行目への写像はどちらも可縮な部分をつぶすだけなので同型.
3行目から2行目への写像は切除同型.
はが中への同相なので同型になります.よっては同型写像になるので,結合定数は±1になります.
証明終わり.